東ティモールOB・OG会
【現地での活動】リハビリってなに?
Botarde !!!(ボタルディ:現地語であるテトゥン語で「こんにちは」)
当会は、JICA海外協力隊として東ティモールに派遣されていたメンバーで構成されています。今後、隊員が現地でどのような活動をしてきたのか少しずつ紹介していけたらと考えています。初回は、2017年10月から2年3か月の間、理学療法士として派遣されていた堀内が担当いたします。
2015年の国連総会にて、「持続可能な開発目標(SDGs)のターゲットの1つとして、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC:全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態)の達成が位置づけられました。東ティモールは治療・薬・車いすや松葉杖といった医療費は全て無料であり、この目標は達成されているように感じます。ですが、国民の中にはあまり病院に行こうとされない方もいらっしゃいます。病院へのアクセスが乏しかったり、マタンドークという祈祷師や伝統的な薬を信じていたりするためです。そして、リハビリテーションの普及はもっと遅れています。私は、首都ディリにある国唯一の国立リハビリテーションセンターで活動を行っていたのですが、首都ディリの市民にすら、ほとんどセンターの存在を知られていませんでした。そこで、センターで理学療法を行う傍ら、センターの広報活動やリハビリテーションの普及活動を行いました。
作成したポスター
まず、先輩隊員が作ってくださっていたセンターのポスターを再度作成し、そちらを活用しながら、色んな地方都市で住民の方にセンターの紹介とリハビリテーションの必要性を説明しました。しかし、彼らは実際にリハビリテーションを見たことがなく、イメージすることすらできないので、言葉で説明しても理解が難しいようでした。その様子を見ていた他隊員からのアドバイスもあり、リハビリテーションの広報動画を作成することにしました。
SISCA(移動診療)で待っている患者さんにセンターの広報活動中
せっかく動画を作成するなら、多くの人に見てもらえるようなものにしたいと思いました。そこで、東ティモール人はストーリー性のある動画を好むためドラマ仕立てにすることにしました。また、現地の理学療法士から、自分たちの仕事は認知度が低く、評価されなくて残念だという声も聞いていたため、実際に東ティモールの理学療法士に出演していただきました。さらに、東ティモールは一旦病気になって後遺症が残ってしまった人は、家の中でしか生活していないという現実もあったため、社会復帰についても知ってもらいたいという想いもありました。そのため、実際にセンターでリハビリを受け、省庁の職員として復職した患者さんにも出演していただきました。
動画の撮影風景
せっかく作成したのに、見てもらえなければ意味がありません。そこで、RTTL(国営放送、東ティモールのNHK的な放送局)に配属されている隊員に協力してもらい、RTTLの偉い方に連絡を取ってもらいました。本当は放送にはお金が必要だったのですが、「私はボランティアだからお金はありません。でも、この動画は東ティモールにとってきっと役に立つものなので、無料で放送してくれませんか?」と交渉し、無事、許可をいただきました。しかし、放送されないまま任期が終了してしまったため、帰国してからもその隊員に協力しもらい、ついに放送してもらうことが出来ました。(動画は、JICA Timor-LesteのFacebookにて見ることができます。https://fb.watch/a52QfLH1lM/)
今回は、国立リハビリテーションに派遣された理学療法士の活動の一部を紹介させていただきました。もっと東ティモールの医療事情やリハビリ事情、もしくは東ティモールについてお知りになりたい!という方がいらっしゃいましたら、お気軽に当会へお問い合わせください。
最後になりましたが、遠く離れた日本からですが、少しでもリハビリテーションを受けられる人が増えることを願っております。
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